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第九十三話 神のクレーム対応

 数年前、社名は失念したがある会社のクレーム対応の記事を読んで印象深く心に残ったことがある。それは韓国の会社。この隣国への心情的なものは横に置いて、私は素直に感心した。その会社ではカスタマーセンターにクレームの電話があれば、担当者に代わるまでのお待たせ時間の間に、音声で担当者の子供や家族のほのぼのとした話が流される。その間にお客さんの激昂は収まり、ほとんどのケースで滞りなくクレームが解決しているという。この素晴らしいアイデアを私の会社に当てはめたらどうだろう、いつものことだが想像が妄想へと私の中で膨らんで来た。良くないクセである。

 まずクレームの電話を受けると「もしもし」の一声で相手の性別はおろか、年齢・職業・趣味・容姿までもが瞬時にわかる霊能者的職人を育てる。そこで何タイプも用意されている音声テープの中から相手に最もふさわしいテープを素早く選び出して再生スタート。この時点では当然相手の怒りは収まってはいない。しかしこの後の音声を聞けば劇的な結果が待っている。

 例えばアイドルの追っかけを生き甲斐にしている若い女性からのクレームには、超人気アイドルグループの極めて入手困難なライブチケットの裏ルートを音声テープが順を追って伝え始める。そして最も重要な最後の手順を教える直前に若いイケメン声のオペレーターに変わる。女性はもうクレームどころではない。テープの大事な局面を打ち切られたことには腹が立つが、イケメン声にも惑わされクレームはけむに巻かれてハイ終了。

 次に、男性四十六歳・肉体労働・独身、このタイプからのクレームには「官能小説」のテープが用意されている。それはどんな男性でも一分以内に鼻血を出す秀逸な話である。
さらにテープが終わるや否や壇蜜さんの声そっくりな熟女オペレーターが出る。こうなるとほとんどの場合「お、お姉さん、オレ急用があるけん」と言って電話が切られる。その男性にどんな急用が生じたかは、会社としては預かり知らない。音声テープはその他、「大学教授対応」「オネエ対応」「ラーメン屋店主対応」「外人好きハンバーグ店マスター対応」など様々なものが揃えられている。まさにクレームの神対応システムである。

 そんな妄想に取り憑かれながらも、ふと気づいた。こんなムダなシステムを構築するエネルギーと霊能者的職人を育てるサイキックな才能が私にあれば、怪しい宗教団体のペテン教祖になっていたかもしれないと。

 やっぱり私はラーメン屋でよかった。

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