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第百〇六話 ラーメン王逝く

 去る7月13日、ラーメン王こと武内伸さんが逝去されました。享年47歳。肝硬変による早すぎる永眠でした。武内さんは平成四年のTVチャンピオンラーメン王選手権で優勝し、これを機に、それまで勤めていた建設会社から、新横浜ラーメン博物館広報担当へ転職。やがて独立し、ラーメン総合研究所を設立。その間ラーメンに関する著書を多数執筆(中にはマンガ本原作もあり、我が大砲ラーメンの物語もあります)、さらにテレビや雑誌のレギュラーも多く抱えており、ラーメンを『ブーム』から『文化』の水準にまで引き上げた功労者のひとりであります。武内さんのラーメンに関する知識と情熱は、ラーメンフリークのみならず、多くのラーメン店主からも一目置かれている、まさに本物の『ラーメン人間』でした。僕がその訃報に接したのは、武内さんと最も親密なラーメン店主・支那そばやの佐野実さんからの電話でした。「タケちゃん死んじゃったよ・・・」あの『ラーメンの鬼』といわれる佐野さんは声を詰まらせていました。その後も続けて何人もの関東のラーメン店主たちから僕のところへ訃報の連絡が入りました。『雷文』の女将・宇都宮さんは受話器の向こうで号泣していました。
 武内さんはラーメン研究家という『食べる側』の人でありながら、ラーメン店主という『作る側』の人々から本当に愛された人でした。今でも僕は、武内さんとラーメン談義をやったり、飲み歩いたりしたことが昨日のことのように感じます。酔っぱらってイキナリ夜の歩道に柔道の『受け身』をやり、腕時計を壊した武内さん。テレビ取材で柳川に行ったとき、汲み取り便所に財布を落とし、汚れたお札を川で洗って干していた武内さん。別の取材では財布を完全に失い、佐野さんに「パパ?パパ?」と言いながら、お小遣いをねだっていた武内さん・・・。とても人間味溢れる人でした。そんな武内さんには多くの名言があります。その中で僕が最も印象に残った言葉が、「ラーメンは鶏ガラ・豚ガラ・人柄」。単なるシャレを超えた深みある名句です。
 相模原の通夜会場の外には『ちゃぶ屋』の森住さんによってテントの仮設の厨房が作られ、森住さんと共に佐野さんや宇都宮さんたちが参列者に『ラーメンの炊き出し』を配り、武内さんの棺の中には、花ではなく『麺』が敷き詰められました。そして親族代表の挨拶でこのような言葉がありました。「伸は、人の十倍酒を飲んで、人の百倍ラーメンを食べて、逝きました」と。生涯で五千数百杯のラーメンを食べ尽くした武内さんの戒名は『麺伸』。まさに世界初の『ラーメン葬』でした。
 お骨を拾いながら佐野さんが一言。「タケちゃん、喜んでるよな・・・」
 ラーメン界にひとつ、大きな穴が空いてしまいました。
 武内伸さんのご冥福をお祈りいたします。