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第四十六話 異星人・麺次郎の物語・その3

 こんにちは。異星人・汁宮 麺次郎(しるのみや めんじろう)です。
 いまのところ、母星からの代替えシャトルが未到着なので地球監察活動ができずにじっとしております。そういうことで今回は、僕の秘密基地であるTラーメン合川校舎周辺の監察報告をさせていただきます。
 先日、合川校舎の正門前に“玉葱駅”という、昔懐かしい木造の駅舎が出現しました。その駅舎、本当は“オニオン”という地元久留米の人気ハンバーグ屋さんなのです。実はそこのM社長とTラーメンのK社長は仲がいいらしく、K社長曰く「異業態でも、同じ敷地への出店なら同じコンセプトがよかばい。木造の学校の前には、やっぱし木造の駅やろうもん」と、合川校舎と同じ“古き良き、そして元気だった昭和の三〇年代”をテーマに、K社長自らハンバーグ屋さんの建築デザインのプロデュースを買って出たそうです。
 この“玉葱駅”、けっこう凝ってます。
 まず、駅(店)の外では、お客さんを出迎えるように懐かしい電話ボックスと赤い郵便ポスト(円柱型のアレ)が並んでいて、ポストの方は、後日郵便屋さんが実際に集配に来てくれる予定だそうです。
 そして駅構内(店内)に入ると、突然“キヨスク”型のボックスカウンターがあり、椅子は汽車の座席に使われてたビロード生地。美味しいハンバーグを食べながら天井を見上げると、さりげなくレトロな地元商店の広告看板が貼ってあったり、レジはガラス貼りの“切符売り場”になってたり。そこで勘定をすませたお客さんが出口の“改札口”を抜けると、“プラットホーム(そこも食事ができるテラス)”。その下には、何と昔の国鉄で使われていた本物の朽ちた枕木に横たわる古レール(砂利石も本物)。さらに旧国鉄の列車用信号機までも!
 そんな、駅舎のリアルな演出があまりにも出来が良すぎたために、K社長は
「こりゃいかん、調子に乗ってウチのラーメン屋よりオモシロか店が出来っしもた。もうちぃっと手を抜きゃよかった」
 と、後悔しきりだったそうですが、何れにしても七五〇坪の敷地に“木造駅舎”と“木造校舎”の建ち並ぶ姿は壮観であります。両社長は、業種業態に関わらず、これからもこんなレトロな建物が周辺に立ち並んでくれると、タイムスリップしたような“昭和のまち”が出来上がり、久留米の新たな観光スポットになるのではと、期待に胸躍らせているようです。
 現在、この駅舎や校舎の裏手の広大な土地には、西日本最大級のSC(ショッピングセンター)が建築中で、実際その前面に“昭和のまち”が出現すれば、キラキラした近代的なSCと、しっとりとしたレトロな町並みの“過去と未来”が渾然一体となり、そのコントラストはとても楽しいものになるでしょう。
 僕は異星人ながら、そんな変わり種社長たちの夢物語に、何となくワクワクしてます。

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