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第四十五話 異星人・麺次郎の物語・その2

 今回は、前号を読まれた方の「そんな重大な任務を帯びた宇宙人の秘密基地が、ワシントンでもなく、モスクワでもなく、なぜ久留米のラーメン屋なのか?」というご質問にお答えしましょう。
 すでにお話しましたが、僕の愛用の羽釜型星間シャトルの燃料は、この地球で言うところの”豚骨スープ”です。もうお判りですね。そう、ここ久留米は豚骨ラーメンのメッカ。シャトル燃料の宝庫なのです。パイタン星人にとって久留米は最大の産油国であり、豚骨スープのアラブ諸国と言ったところです。「それなら、大都会の福岡のほうが豚骨ラーメン屋の数は多いじゃぁないか?そこじゃイカンのか?」とお思いでしょう。
 チュッ、チュッ、チュッ(口の前に立てた人差し指を軽く左右に振ってます)甘いネ~。
 燃料には”純度”というものがあります。僕の最新型シャトルには、純度九〇%以上の燃料が必要なのです。そりゃ福岡のラーメン屋さんも、ほとんどが豚骨スープです。でも、最近は豚骨に何割かの鶏骨を加えたスープのラーメン屋さんが結構多いようです。食べる分には、これはこれでナカナカいい味なのですが、僕のシャトルの燃料としては、やはり豚骨一〇〇%の久留米のスープが最適なのです。これが、秘密基地に久留米を選んだ理由です。
 ところで先日のことですが、長崎へ視察に出向いたところ、長崎市内上空でシャトルがガス欠になってしまいました。僕は焦りながら近くにラーメン屋さんはないかと探しましたが、なかなか見つかりません。あるのはチャンポン屋ばっかし。皆様はチャンポンと言えば豚骨スープとお思いでしょうが、チャンポンの起源は、鶏骨中心の中国の清湯(ちんたん:澄んだ)スープ。最近は豚骨も加えられてますが、その比率はまだまだ。しかし背に腹は代えられず、やむなし豚骨純度の低いチャンポンスープを補給、次の視察地・福岡へ向かいました。
 福岡にさえ行けば、まだ高純度の燃料が得られます。僕は異質な燃料を食わされながらあえぐように飛ぶシャトルを、だましだまし操りました。ところが雑餉隈あたりでエンジントラブル発生。近くのラーメン屋さんを素早く見つけると(さすが福岡、すぐ見つかった)緊急着陸しました。さらにラッキーなことに、その店の看板には何と「とんこつ一〇〇%」と書かれているではありませんか!
 僕はすかさずその燃料を補給しました。
 そころが、その燃料がイカンやったとです。実は、そのスープはインスタントやったとです。食品メーカーから仕入れたペースト状のモノをお湯で溶かしただけの”業務用とんこつスープの素一〇〇%”やったとです。お陰でシャトルは離陸直後に空中分解。僕は炎の中を緊急脱出用の中華鍋型ボートで脱出し、九死に一生を得ました。今、秘密基地の久留米Tラーメン合川校舎の百葉箱の中で、僕はヤケドの養生をしながらパイタン星からの代替えシャトルを、じっと待ってます。
しかし地球はオソロシか星です。

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