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第四十一話 ラーメン屋の中のドラマ・パート2

 今回は、ちょっと古いけど“まんが日本昔ばなし”風に。
 ~ むかーし昔のことじゃった。ある小さな町の片隅に、これまた小さなラーメン屋があったそうじゃ。もうその店はなくなってしもうたので、このはなし、話しても差し支えないじゃろう。
 そのラーメン屋は、変わり者の夫婦が二人でやっとったそうじゃが、なぜかたいそう評判で店の前にはいつも長い行列ができとったそうな。それは、夏のとても暑い昼下がりのこと、この日もこの店には長い行列ができとったそうじゃ。陽炎に揺れるながい長~いそんな行列の最後に、幼い男の子を連れた母親がそっと並んだそうな。炎天下で木陰もない行列はなかなか前に進まず、その母親は自分の影でその子の日除けをつくりながら、ひたすら入店の番を待たそうじゃ。
半時(約1時間)も待ったじゃろうか、母子はやっとの思いで、冷房の効いた涼しい店内に入ることができたそうじゃ。ところがじゃ、母子が入るやいなや「いらっしゃい」どころか、店のオヤジはいきなり「帰ってくれんか」といったそうじゃ。母親が驚いてその訳を訊くと、オヤジは黙って店内の張り紙を指さした。そこには「子供連れお断り」と書いてあった。母親は、それは知らなかった。でも暑い中、長時間並んでやっと店に入れたのだから、せめてこの子にだけでもラーメンを食べさせてほしいと哀願したそうじゃが、「わしの店の掟じゃ」と、ラーメンどころか水の一杯も与えず、けんもほろろにその母子を追い出したそうじゃ。周りの客は皆、そんな母子を見て見ぬ振り、知らん顔じゃったそうな。なんと悲しい話じゃ。
 そのオヤジは何かと“掟”が好きらしく、ある客が「替玉」を注文してもオヤジは知らんぷり。大きな声で何度注文しても、知らんぷり。たまりかねて怒鳴ると、オヤジは黙ったまま張り紙を指さすそうじゃ。そこには「『替玉』”ではなく『替麺』と言って下さい」と書かれていたという。掟と張り紙が好きなオヤジは、掟を忠実に守る客しか客と見なさぬらしく、やがてそんな客たちの会ができ、その会員はなんと忠実度で“階級分け”までされていたそうじゃ。驚くべきことじゃ。その後、その店とそのオヤジ夫婦がどうなったかは、なんせ遠~い昔の遠~い町のはなしじゃから、とんとわからん。 ~
 と、まあこのはなし、実話か作り話かは皆さんのご想像におまかせするとして、この店の雰囲気は何となく、先々月このコラムに登場した“北の国から”のラーメン屋に(行列以外は)基本的に似てますね。もしかしたら倉本聡氏もこの店に行ったのかも…?
 ところで「先月登場したお前の店のバイトのM君はどうしてるか」って?はい。元気に頑張ってます。彼は将来ラーメン屋になりたいそうです。

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