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第十二話 手前八角

 前回のコラムで取り沙汰された香辛料「八角」の名誉のために、少々弁解させてください。八角(パーヂャオ:英名Star anise)は、「豚や鶏を用いた中国の煮込み料理には欠かせない香辛料」とされています。日本でも中国料理で一般的に使われる中国のブレンドスパイス「五香粉(ウーシャンフェン)」の中にも、この八角が含まれており、日本人に全く馴染んでないわけではないのですが、なぜ本場の上海料理には、あんなにふんだんに八角が使われているのでしょうか?帰国後、僕は、久留米市内の某・上海料理店の鉄人(自称)に訊ねてみました。
 
HK:「なし、上海ちゅうとこん料理は、あげん八角がキョーレツかと?」
少々多弁な鉄人:「そやーオマエ、あれたい。八角が好いとっけんたい、ガハハ・・。ちゅーか、(“と言うべきか”の意、“中華”のシャレではない)、それたい、豚たい。特に豚肉料理にハラいっぱい八角使ことったろ?そいはにゃー、(何やらムズカシそうな顔で)国家的豚肉事情の違いたい。オマヤ知らんめーばってん、日本の中華でっちゃ、昔ゃチカライッパイ八角ば使っとったっぞー。昔ん日本にゃ、今のごと配合飼料で育てる品種改良の豚やらおらんやったろーが、そん頃ん豚肉は、残飯で育った昔(品種)の豚の肉たい。そりゃ当然、クセもニオイも今よっか強かったっさい。だけん、八角でクサミば消して、肉の風味ば引き立たせよったと。今ん日本の豚肉にゃ、そん必要はなか。(理解を強要するような顔で)ワカルヤ?」
 納得しました。
 要するに、“本場上海の料理にクセがあるのではなく、それを輸入した日本の現状が上海料理本来の味をライト化してしまった”というごく自然なことに、いまさら恥ずかしながら、気づかせていただきました。
 以前、僕はこのコラムで“「手前味噌」の語源”という切り口から、「人の味覚は、幼年期より体験的に形成され、その味の指向性は、日本中の各地域ごとに異なっており、その地域の食文化として根付いている云々」ということを書きました。日本の小さな“地域”から世界の“国”レベルの食文化の違いを、今回、まざまざと見せつけられました。中国の「手前味噌」は僕にとっては八角というところでしょうか。鉄人の弁は、まだ続いてるようです。
 
鉄人: 「コラ聞きよっとか!」
HK: 「あ、ごめんゴメン。ところで鉄人、今の日本の豚肉事情はどげん思う?」
鉄人: (少々シンコクな顔で)「そうにゃー、豚肉本来のうま味やコクちゅうとは、昔ん豚肉のクセの中にあったごたる気がする。ばってん。そげな肉は今ん日本の若っかモンは食いきらんめーもん。」
最後に鉄人は、“しかたない”という顔で、・・・「しょんなか。」
 
ということで、今回のコラムは、九州の一部の地方の人以外は、とても読みづらかったことでしょう。ごめんなさいの謝謝。そして次回も懲りずにおつきあい下さい。
 
 再会(ツェーウェー)。