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第七十七話 初代奇行譚(3)

本シリーズ「初代奇行譚(1)」の話は、腹が立った相手でも、自分の気持ちさえ収まればスグに酒を酌み交わす親父のクセで締めくくったが、同様のエピソードをもう2つほど思い出した。
まず、私が小学6年の家庭訪問時の話。新しい担任は、以前このコラムで登場した「若く心優しき女性担任」とは打って変わって、定年を間近に控えた初老の男性担任であった。しかしそのM先生、むかし3シーズン連続で甲子園優勝に導いた徳島の池田高校野球部の名将・蔦文也監督を彷彿とさせる、豪快で無類の酒好き教師であった。我が家の家庭訪問対応の担当は、女性教師であれば母、男性はオヤジと定められていた。当日、私の予想にたがわず両者はスグに意気投合し、やがて酒盛りが始まった。今でもその時の2人の会話は覚えている。オヤジ「先生、このバカ息子が人の道を外れたこつどんすんなら、どうぞ牛馬ち思って殴る蹴るしてヨカですばい。ワッハッハー」M先生「わかりました、そげんさせてもらいます、ワッハッハー」児童教育の話などカケラもない。同席しているのに完全に無視されている私は、たまりかねて言った。「先生、次も行く家があるっちゃなかですか?」先生「もうどげんでんよか。今日はここが最初で最後の訪問先たい!」オヤジ「おー、よう分かっとるねM先生!ワッハッハー」・・・やはりその日、外はまだ陽が高かったが、大砲ラーメンには営業終了の札が下がった。今では考えられない家庭訪問の風景である。
2つ目の話は小学2年だったか、私は六ツ門の映画館に1人でゴジラ映画を観に行った。
映画が終わり外に出るともう陽が暮れていて、昼とは違う景色に別の街に迷い混んだような感覚に陥ってしまった。帰るべき先は西鉄久留米駅前の大砲ラーメン(当時は屋台)だが方角がわからない。半ベソの私は、たまたま通りかかった20歳過ぎのお兄さんに道を訪ねた。「ボク迷子になったとね?その屋台なら知っとるけん、連れて行ってやるたい。」とても親切な青年に連れられて、ようやく私は両親が営むラーメン屋台の暖簾をくぐった。事情を話すと、両親、特にオヤジはその青年に痛く感心感謝で、「兄ちゃん。ありがとうね!まあラーメンご馳走するけん食べてかんね。イヤ、その前にイッパイ飲まんね!」オヤジは遠慮する青年に酒を無理強いしながら、自分も飲み始めた。その青年は生真面目で無用の深酒はしないタイプらしく、困った顔をしながら杯を交わしていた。オヤジはそんな相手などお構いなしで、無用の深酒にまみれながら屋台の夜は更けていった・・・。
今回、オヤジの酒にまつわる2つのエピソードを書かせて頂いたが、余談ながらその無用の深酒DNAは今の私にしっかり受け継がれている。嗚呼、忌まわしきかな。