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第三十三話 高良川物語

 目前の雪道に突如飛び出した黒い物体は、何と!巨大なヒグマ!・・・じゃなくてウリ坊(猪の仔)でした。感動しました。というのも、私は30数年の渓流釣り歴がありまして、地元九州の山岳渓流のヤマメはもちろん、富山は黒部川のイワナ、果ては最北の稚内のイトウまで、全国の山や谷を放浪してきました。その間キツネやタヌキは無論、ニホンザルや大型のエゾシカ等々、およそほとんどの国内の野生の動物と遭遇してきました。4年ほど前は道北で、同行の釣友が車で移動中、ホントに巨大なヒグマと農道で鉢合わせしました(その時たまたま私は別行動中で、後にその話を聞いて悔しい思いをした)。
 そんな私が、低山にもふつうに生息している猪とは一度も出会ったことがなかったのです。なので、柴犬ほどの小さな猪の仔との遭遇に素直に感動したのです。雪が白く反射しているせいなのか、ウリ坊特有の縞模様が見えず、全身が真っ黒に見えました。子供のように興奮した私が、すぐさま車をUターンさせると、またもや同じ場所から同じようなウリ坊が飛び出してきました。それは雪の林道を横切り、川の浅瀬を渡って対岸の斜面を駆け上りました。
 私は車のエンジンを切り、静かになった対岸の斜面で遊ぶウリ坊を、しばらく眺めることにしました。ここは高良川の源流、久留米のまちなかから一番近い小さな秘境です。
 私はこの古里の川が好きです。高良川は、その源を久留米市高良内町杉谷に発し、自らの伏流水による湧水池を国分町・野中町・合川町に点々とさせながら流れ下り、百年公園裏の筑後川に合流するまで、わずか流程13㎞ほどの小河川です。
 しかしその土手沿いには昔の武家の別邸や豪商の別荘が今でも点在し、川沿いの小道は、子供たちの通学路やお年寄りの散歩道であり、その佇まいは「里の川」そのものです。
 そんな高良川には、私も様々な思い出があります。子供の頃は親父に連れられて、夏は上流でサワガニ、秋は中・下流でツガニを捕り。その楽しい思い出が、私の川好きの原点かも知れません。   
 実は高良川にまつわる思い出の中で、とても鮮烈に覚えていることがあります。あれは私が小学6年の秋でしたか、ワル友3人で、高良川沿いの広大な屋敷の庭に忍び込み、その頃学校で厳しく禁止されていたモデルガン(当時はオール金属製)で戦争ごっこをしていました。
そこは庭というより木が鬱蒼とした丘陵地という感じで、木々の間に青々と水を湛えた池もありました。私たちはそんな絶好の戦争ごっこフィールドの中をドンパチと火薬の音をさせながら走り回っていました。その時、ふと何かが聞こえました。小さな子供の声です。それも複数。声のする方に目を凝らしてみると、木の隙間から見えたのは、3才位の子供たち3〜4人が池の縁に集まり、何かに向かって騒いでいる姿。さらによく見ると、池の水面に何やら赤いものが浮いたり沈んだりしています。
 そう、子供が池で溺れているのです。

~申し訳ない またもや次号へ続く