お店をお探しの方はこちらから
久留米 大砲ラーメン公式通販サイト【全国配送】お店の味をそのままに本物をお届け

第三十一話 ラーメン維新

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞラーメン同様、本コラムも御引き立てのほど宜しくお願い申し上げます。
 さて私ごとで恐縮ですが、無事ならば(?)今年の3月で58歳となり、やがて還暦を迎える予定です。私は生まれたときから家がラーメン屋なので私のラーメン歴も年齢同様、還暦間近ということになります。ラーメンがまだ「中華そば」と呼ばれていた時代に私は生まれ、物心つき少年期、青年期、そして今日まで、私を取り巻くラーメンの環境は目まぐるしく変化しました。それは、日進月歩の急激な進化を遂げ続けているITの世界にも匹敵するものでした。
 敗戦の瓦礫の中から戦後復興期を経て、やがて急速な経済成長で世界を驚かせ、経済大国・技術大国となり、いまや世界一流の先進国となった我が国日本。ラーメンの存在は、その黎明期から現在に至るまで、日本の近代史と共に大きく様変わりしました。戦時中小さな屋台で産まれた豚骨ラーメン。大砲ラーメンの場合、戦後復興に勤しむブルーカラーの労働者のお腹を満たしたのが1杯60円のラーメンでした。当時「料理」という位置付けさえ得られなかったジャンクフードのラーメンが、いまや日本独自の「料理」という位置付けとなり、昨年東京のあるラーメン店などは、あのミシュランガイドから一つ星を獲得。更には、日本政府のクールジャパン政策におけるコンテンツの1つとして、アニメやゲームなどと共にラーメン(特に豚骨)が選ばれ、国を挙げて世界にジャパンカルチャーを発信することになりました。屋台で産声を上げてわずか数十年の歴史しかないラーメン。それが国も見逃せない存在となったのです。まさにラーメンによる日本の食文化の維新現象です。
 そんな日本のラーメンは、これからどこへ向かおうとしているのでしょうか。日本経済の世界戦略のアイテムとなった以上、そのバスに乗り遅れまじと、日本中の名だたるラーメン店がいま世界進出を繰り広げています。アジアはおろか欧州や北米大陸の主要都市には、何件も日本のラーメン店があり、連日長い行列を作っています。その多くの店では、諸事情により自社製のスープは使わず、スープメーカーの濃縮スープを使用していると聞きます。店には店の経営方針がありますので、私は批判しません。
 しかし私はそんな流れに乗ろうとは思っていません。また、これで機を逸するとも思っていません。真実の「機」の到来は何年か先でしょう。そのときが来たら、私は「本物の豚骨ラーメン」を世界の人々に伝えたいと考えています。それも一国一店舗のみの出店。これが私の中の「クール」です。