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第百二十五話 映画「ラーメン侍」幻の脚本⑭

前号からの続き

 明けましておめでとうございます。本年もコラム「ラーメン外伝」を宜しくお願い致します。
 前号12月のクリスマスに続き、今号は「正月」の時期と重なった目出たいシーンをお届け致しまする。

15 長屋の正月

 元旦の朝、光が目を覚ますと、またも枕元に何かある。それは祝いの〈のし袋〉だった。のし袋には、明らかに昇の筆跡で〜おとし玉 より〜と書かれてあった。封を開けると、100円札が1枚入っていた。
 2段ベッドを駈け降りると光は昇に抱きついた。「父ちゃんありがとう」
 昇はわざとらしくとぼけて言った。
 「何のこつか? 礼ならのオヤジに言え。それより、きょうは元旦ぞ。別の挨拶があるやろ?」
 「あ、そうか。では、父ちゃん、母ちゃん・・・」
 玄関が開いた。「あけましておめでとうございます」端午の声がした。後ろにはきなこがいる。
 「あけましておめでとうございます」きなこは美しい着物姿である。その後ろには善次郎がいた。
 「アニキ、アニキのお陰で、こうやってきなこに着物も買ってやれたし、何ちゅうてもオヤジの目の手術もできた。ほんに感謝しとります」
 端午は鼻をすすった。
 善次郎も深く頭を下げながら言った。
 「息子たちが大変お世話になっております。お陰さまで親子3人で暮らすこともできました。本当に・・・」
 昇は手をふりながら「よかよか、さ、上がらんの」

 長屋の軒のツララから滴がひとつ落ちた。
 屋内では宴もたけなわである。
 「♪あの娘をペットにしたくって ニッサンするのはパッカード♪」
 端午が小林旭の〈自動車ショー歌〉を歌いながら踊っている。振り付けはなぜか〈安来節(どじょうすくい)〉である。鼻の5円玉も皆の笑いを誘っている。
 昇も1升瓶を持ったまま踊りはじめた。
 全員大笑いしながら手拍子をしている。

 快晴の空には、いくつかの凧が揚がっていた。
 どこからか羽子板の音がきこえる。

次号へ続く

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