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第九十六話 ラーメン学

 今からちょうど20年前の2001年、皆様ご存知の博多中洲の大型商業施設「C博多」に「ラーメンS」というラーメンテーマパークが開業した(今さら実名を伏せる必要は無いのだが)。実は私、そこの開発担当者から企画段階よりコンセプト作り等の相談を受けていた。一世を風靡した「新横浜ラーメン博物館」にはない斬新なコンセプトが必要だという。そこで思いついたのが「日本のラーメン」を大きく分類化し、それらの類型の代表ラーメン店たちが競い合うというのはどうか。その意味付けとして・・・・
〜「ラーメン四大文明」といわれる、塩・醤油・味噌・豚骨というジャンルのラーメン、そのベースのスープを、「清湯(チンタン:澄んだスープ)」と「白湯(パイタン:白濁したスープ)」とにザックリ二つの種に分ける。すると塩・醤油・味噌は清湯、豚骨は白湯、この2種族となる。種の境界線は明瞭ではないが、あえてそこを関門海峡とする。白湯族は九州の固有種族である。かたや清湯族は本州中国地方から北海道までを領地とする強大な3部族連合軍である。この連合軍が関門海峡を越え、蒙古襲来のごとく白湯族の領地・九州へ攻め込んで来た。決戦の地は「C博多」である。〜

 こんなストーリー仕立てのテーマでは如何かと提案したところ、この案は採用された。また、来場者の投票による、九州ラーメン店群と九州外の地域のラーメン店群の勝敗の結果を、定期的に施設内で発表して盛り上げようという事になり、施設名も「ラーメンS」に決定した。そして2001年12月に華々しく開業したこの施設は、予想通り大盛況で全国のラーメン好きの話題をさらい、国内外から大勢の人が押し寄せた。

 前振りが長くなってしまった。今では私もその施設とは随分と疎遠になってしまったが、当時、施設側から会場アプローチを飾る「ラーメンのうんちくを書いた大型パネル」の原稿を依頼された。そこで、わずかな知恵と浅い知識を絞り切って書き上げたのが「香月均史のラーメン学」なるものであった。それは「学」とはいえない稚拙なものであるが、内容は前述の清湯と白湯の地域的な棲み分け、スープに使用される食材の説明やスープの濃度、麺の形状と加水率の地域格差などの文章に、チャート図を頻繁に差し込んで「見える化」したものであった。厳密には「ラーメン分類学」とした方が正しいかもしれないが(余談だが、昨今のラーメン業界ではそのチャートがより工夫され、様々な用途に使われている)。この大きなB全パネル数枚に及んだ掲示物も、やがて姿を消し、現在原稿は大砲ラーメンのHPの片隅に貼られているのみであった。ところがなぜか近頃、その「ラーメン学」が再び脚光を浴び始めた。それは、あるフードライターのブログで紹介されたことがきっかけで、各方面から取材が増え始めた。先日は福岡の経済誌の取材とNHKラジオ出演依頼があり、さらに、学界初という「豚骨スープの学術論文」を執筆中という、ある大学教授までもが訪ねてきた

 しかしよく考えれば、その私の「ラーメン学」なるものは20年前の自説であり、その後様々なジャンルのラーメンが雨後の筍のごとく出現し、今や日本国内のラーメン界は混沌の極みである。もはや色褪せた私の「ラーメン学」は、ぼちぼち若い世代の誰かにアップデートしていただきたい、そう願っている。

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