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第百二十一話 幼き恋心

 なんとなく甘酸っぱそうなタイトルですが、何のことはない、オヤジが三人酒を飲みながらの昔話。その三人とは、草野町のKさん、粉屋のH君と僕です。この日は珍しく、下ネタではなく幼い頃の思い出話に花が咲きました。テーマは「芽生え始めた淡い恋心」とでもいいましょうか、最初に切り出したのは僕でした。
 それは僕が小学三年の頃でしたか、当時の小学校の机は、現在のように一人に一台ではなく、二人分が一つにつながった横長の木製の机でした。しかも、そこに座るのは男女のペア。席替えはクジでペアが決まり、否が応でもその相手と一学期中肩を並べて勉強するのです。皆、新学期の席替えの日は戦々恐々。心中「あの子とならいいな」「あの子とだけは死んでもイヤだ」と、クジの結果を祈るように見つめます。当時からクジ運の悪かった僕は、何も期待してはいませんでした。ところが、さらに人生にも期待していない僕は、自分の耳を疑いました。「カツキヒトシ君、○○トモコさん(名字は忘れた)」という先生の声を聞いたとたん九歳の僕は思いました。「人生すてたァもんじゃない」と。トモコちゃんといえば、僕が密かに思いを寄せていた可愛くて利発な女の子です。トモコちゃん自身は僕のことをどう思っているのか知る由もありませんが、そんなことは僕にはどうでもよく、その日から僕にはバラ色の小学校生活が訪れました。そんな幸せな日が続くある日のこと・・・。この話、飲み会のときの言葉を借りれば、「そいがっさい、事業中トモコちゃんから借りた消しゴムば、うっかり自分の筆箱に入れてっさい、家に持って帰っしもたったい。そいで、家でそれに気のついて、ありゃしもたーっち思ったとばってん、なんかそん消しゴムが愛(いと)おしゅうして、愛(いと)おしゅうして・・・。そんで、どげんしたち思う?俺はそん消しゴムば・・・、食うた。おう、食うてしもた。ゴムん味しかしぇんやったばってん、一所懸命食うた。で、次の日、トモコちゃんに消しゴムの所在を訊かれたっちゃけど、俺はすっとぼけた。ところがそん日から、トモコちゃんば見るたび、口の中にゴムの味がよみがえってしもて、しまいにゃトモコちゃんの顔までゴムに見えるごとなってしもた」一同大爆笑。すかさず草野町のKさんが「ソレあるある。俺の場合は、放課後好きな女子の笛(リコーダー)ば、ねぶり(舐め)まわした。ギャハハ。そしたら他の連中も、それぞれ好きな子の笛ばねぶりまわしよったげな。ワーハッハー」すると、それを聞いていた粉屋のH君がニヤリとしながら、「ムフフ・・・Kさん、その醍醐味はやっぱり、ハーモニカですよ、ハーモニカ。ムフフ」一同さらに大爆笑。こうして、幼き日の恋心(少年期の変態性?)を酒の肴に、夜も更けていきました。
 ちなみに、トモコちゃんはその後、どこか遠くの町に転校し、もう僕と会うことはありませんでした。笛をねぶられた女子も、ハーモニカの子も、KさんH君とは別の男性と結婚し、幸せに暮らしているそうです。
 今回の話、ロマンチストで憎めない、そんなオヤジたちの他愛ない話と思っていただけたら幸いでございます。