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第百〇一話 不健康自慢

 僕は酒もタバコもハライッパイやる不健康な人間です。でも破滅型ではないようです。その証拠に僕の趣味は、魚釣りを除けば「病院通い」だから。酒とタバコでくたびれた躰を病院でアレヤコレヤ検査するのが趣味なのです。「しもた、今月はγGTPが三桁になっとる。よし、今日から一週間、焼酎のお湯割り三合を二合半にしてむう(休肝日はない)」とか、「げっ、胃に穴の空いとるげな。よし、今日から穴のふさがるまで、タバコは1mgにしょうかにゃ(結局吸う)」など、決して良くはない検査結果に一喜一憂しながらも、それなりに対処はしているのであります。僕の酒タバコ好きは、やはりオヤジから受け継いだDNAに起因しているようです。そして病院とタバコといえば、オヤジにまつわるある体験を思い出します。
 十年前に六十三の若さで亡くなったオヤジは、僕以上に、飲む酒の量もすさまじいものでした。ただし僕と違って、大の病院嫌い。そのせいで、ガンの発覚は自覚症状が現れてからで、幾度となく手術と入退院を繰り返しながら、九年に及ぶ闘病ののちに亡くなりました。
 具合が悪いときは、オヤジもさすがに躰が受け付けないらしく、酒は欲しがりませんでした。しかしタバコの場合は別のようで、こんなことがありました。
 手術の直後、オヤジはICU(集中治療室)に入りました。麻酔が覚めたころに、僕が様子を見に行くと、オヤジは凄い形相で僕を睨みつけるのです。「どうしたと?」僕が訊ねると、「痛い」も「苦しい」も決して言わないオヤジが言いました。「タバコくれ」と。ここは絶対禁煙のICUです。周りには精密な医療機器がズラリとあり、他にも予断を許さない患者さんがいるのです。当然僕は拒否しました。すると、更に恐ろしい顔で「タ・バ・コ!」。僕は生まれてからずっと、この顔には逆らえない教育をされています。ヘビに睨まれたカエルの僕は、瞬時に思考と判断力が雲散霧消、無意識にタバコを一本取り出し、火をつけてオヤジの口にくわえさせました。するとどうでしょう!この部屋はカメラで監視されていたのでしょうか、バタバタと人の足音が聞こえたと思いきや、数人の看護婦さんが部屋に飛び込んできて、オヤジの口からタバコを抜き取るや否や、「ここは集中治療室ですよ!精密機器が沢山ある部屋ですよ!あなたはお父さんと他の患者さんを殺す気ですか!」と、僕は叱られたわ、怒られたわ、がられたわ・・・。オヤジといえば、ひとり責められている息子を見ながら、知らーん顔をしていたのです。
 やがて術後の経過も良く、軽い散歩もできるようになったオヤジはある日、酒飲みの嗅覚とでもいいますか、病院の近くに角打ち(立ち飲み)ができる酒屋を見つけました。オヤジにとっては猫にマタタビです。まだ傷口もふさがっていない腹に大量の酒を流し込み、泥酔状態で病院に戻ったところを院長に見つかってしまい、翌日にはその病院を追い出されてしまいました。
 そんなことを思い出しながら、僕はもう五本目のタバコに火をつけているようです。このコラムを書き上げたあとの一杯も楽しみです。
 きょうは朝から雪が降っています。
 こんな日は鍋をつつきながらの一杯がこたえられませんねぇ・・・。