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第五十七話 アジアのラーメン(中)

 先日(四月二十一日)リニューアルオープンした長門石店の謎・その一「なぜ今回のコンセプトは“木造校舎”ではないのか?」
 それは、木造校舎をコンセプトにした合川店・小郡店誕生の裏には、まず廃校が決定した矢部村の飯干小学校の子供たちや村人たちとの出会いと、心のふれあいがありました。 その結果として廃校後の校舎を譲っていただくことになり、お陰様で二つのお店が誕生したという“物語”があります。 校舎の材木はまだ残っていますが、だからと言って「評判がよかったからそのシリーズでいつまでも店舗展開する」というのは、矢部村の人たちとの出会いの感動を商売に利用するような形になってしまいます。僕にはそんな商根はありません。
 謎・その二「じゃ、なぜ“アジア”なのか?」
 僕は以前から「日本のラーメン文化のルーツは中国だけではない。アジアの玄関・九州でラーメン屋を営む者として、もっとアジア、それも南方に目を向けてみたい」そんな思いがありました。
 話が少し飛びますが、九州のとんこつラーメン屋さんが、たとえば“毛色の違う新メニュー”として、“清湯(ちんたん:澄んだ)スープの醤油ラーメンを開発する場合、その味の開発目標になるのは、ほとんどが関東首都圏の名店のラーメンです。かつては僕もそのひとりでした。四年前、期間限定で発売した“しょうゆ柳麺”も、やはり首都圏の醤油ラーメンの名店の味が開発目標になっていたのを憶えています。いわば全国の清湯系ラーメンが、首都圏レベル(?)を目指している状況といえるでしょう。
 そんな風潮をみるにつけ、最近僕は「日本中の清湯系ラーメンが知らぬ間に皆“関東顔”になってしまうのでは?」と思い始めました。
 僕は九州のラーメン屋です。“関東顔”にはなりたくありません。そこでアマノジャクの僕は、皆が目指す“東方”に背を向け、あえて“南方”を見つめてみたいと思いました。 そう、東南アジアです。たとえは悪いのですが、旧日本軍が豊かな南方資源をそこに求めたように、資源のみならず東南アジアには、豊かな食文化があります(もちろん素晴らしい麺文化も含めて)。タイ料理を代表するトムヤムクンなどは、フランスのブイヤベース、中国のフカヒレと並び“世界三大スープ”の一つとされていて、余談ながらコレがまた僕の好物でもあります。また、タイやベトナムで醤油といえば“魚醤”、ナンプラーやニョクマムのことで、これらの国のほとんどの料理に使われています。それは日本の秋田の“しょっつる”や石川の“いしる”と同じ、魚と塩で作る発酵調味料ですが、日本のそれよりニオイが強く、その分コクがあります。
 そしてスパイス。東南アジアはスパイスの宝庫ですが、特にスパイスの聖地インドに隣接するビルマには、中国の麺文化とインドのスパイス文化が出会い、そして産まれた料理“カレーラーメン”(現地語では“オーノスカウェー”)が日常的なメニューとして存在しています。
 その他、東南アジアの食文化を語るにはこの紙面ではキリがなく、また僕も勉強中なのでここでは割愛しますが、要は「そんな素晴らしい南方の“食の文化圏”に近い九州の地にいながら、東方(関東)ばかり目指すのは、何ともったいないことだ」と気づいたということです。それは、ラーメン屋がいきなり東南アジアのメニューを出すということではありませんし、ましてラーメンの奇をてらうことでもありません。
 これからさらに進化していくであろうの日本のラーメン文化に、もっと広がりと深みがほしい。その一助となりたいだけのことであります。…謎の答えになったかいな?