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第二十三話 ガチンコ・ラーメン道

 そういえば今年の冬、2月でしたか「次回は-ガチンコ・ラーメン道のお話-乞うご期待」などと言ったまま、しょうゆラーメンの話が続いてしまい、春を飛び越えてとうとう初夏になってしまいました。イイカゲンデ ホンナコト スミマセン。
 さて、全国ネットの人気TV番組“ガチンコ”、その番組の中の“ガチンコラーメン道”はラーメンフリークならずとも皆さんご存知でしょう。そう、このコラムにも何度か登場していただいたラーメン界の鬼才“支那そばや”の佐野氏が「自らのラーメンの奥義を塾生たちに伝授する師匠」という役で出演されている同番組の人気コーナーです。そのラーメン道も、アレヨと言う間に一期生は卒業してしまってすでに二期生が始まっておりますが、実は、その卒業した一期生の中に、僕の店の若い衆がひとり紛れ込んでおりました。ご記憶の方もおありでしょう、アノ“時々変な九州弁を使う青年”です。その青年は、僕の店の副長で“O”といいます。Oはもちろん僕に相談の上で、他の塾生と同じように番組のオーディションにのぞみ、見事パスして六人の塾生の一人となった訳ですが、彼の名誉(?)のため一言書き添えます。
 放送後、インターネットのカキコミなどで彼のセリフの聞いた博多系の人から「あの九州弁はおかしか」と指摘されたようですが、Oが使う方言は決して“変な九州弁”ではなく、実は“純粋な大牟田弁”であります。したがって大牟田系の彼に言わせると「ぎゃんでよか(これで良い)」ということになるのです。が・・・、ホントのところOのセリフはあまりにも難解なため、何か喋るたびに画面に字幕を出さねばならず、局の編集作業も大変だったということで、やがて回を増すごとにOのセリフは少なくなっていき、いつの間にかOは“おとなしく目立たない青年”という、本人実像とは正反対のキャラに設定されたそうです。(本人談)
 そんなOですが、彼にとっては、人気番組への出演とはいえ撮影期間の四ヶ月間、東京の孤独と戦いながらの長く苦しい“修行”でありました。結果的には、Oは番組のフィナーレで最終審査から漏れてしまいましたが、勝ち残った京都のD君とは“唯一の地方出身”として滞在中苦楽を共にするうち親交が深まり、今では互いに親友の付き合いをしているようです。先日もOは、D君が番組で勝ち取った渋谷のラーメン店のオープンに駆けつけ、大繁盛のお店を手伝って来ました。当然ほかの同期生たちも全員助っ人に来ており、さながら一期生の同窓生のようだったそうです。イヤ~なんか青春してますね。
 ラーメンが高視聴率のTV番組を生み出し、ラーメンをとおして全国の青年たちが集う・・・つくづく時代の変化を感じます。僕のオヤジが生きてたら、言うに違いありません「がばたまがった(久留米系方言:“非常に驚いてしまった”の意;英訳はbestupefied)」と。また、なぜ年末年始というラーメン屋の一番忙しい時期に、それも有能な従業員を東京くんだりに放り出したのか、ガンコなラーメン屋の見本のようだったオヤジは理解できないでしょう。事実、Oが所属していたA店は、彼が抜けている間は人手が足りずに大変でした。しかし、A店の店長をはじめ、他のスタッフ、そしてA店をヘルプしてくれた他店のスタッフ、誰からもOに対する不満やねたみの声は聞かれませんでした。逆にみんなはOを応援してくれました。Oは、そんなみんなの暖かい気持ちに応えるべく、東京で独り頑張りました。
 番組内での結果はどうであれ、Oは誰もが経験できない貴重な体験を通じて、佐野さんのラーメンの奥義、いや、それよりも大切なものを学んだようです。
 Oは久留米に帰って来ました。しかし、彼の本当の仕事はこれからです。それは、彼が学んだ“大切なもの”を、今まで優しく見守ってくれた全ての仲間たちに伝えるという仕事。僕はとても楽しみです。