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第一話 再稼働

 みなさま、ご無沙汰しておりましたラーメン屋の香月でございます。
 思えば「くるめすたいる」平成23年9月号の「ラーメン今昔物語」百四十六話を最期に、実に1年8ヶ月ぶりの書き物でお目にかからせていただいております。
 この度「くるめすたいる」を卒業されて本誌を創刊された石橋さんから、私ごときが達ての執筆依頼をいただきました。
 私は、身を削る思いで創った映画「ラーメン侍」の公開の後、この1年ほど、メディア露出などの目立つようなことはなるべく避け、野に下り、川の畔に籠もっておりました(笑)。というのも、昨年は私にとって生涯忘れ難い苦難の年でありました。
 その4月、先述の映画は、無事全国公開され、観ていただいた方々からは有り難いことに高い評価をいただき、おかげで今年は幸先の良い年だと思っていました。
 ところが5月、社内で大変な出来事が起きました。それは誰もが人間不信に陥ってしまうようなことで、私や善良な社員たちの心に、深く暗い影を落としました。
 さらに、その心の傷もまだ癒えていない10月、今度は母親が倒れ緊急入院。生死の境をさまよい、奇跡的に一命は取りとめたものの、現在も母は病臥状態で、私は見舞いの日々が続いています。その他にも公私にわたって様々な問題が生じた年でありました(余談ですが、聞くところでは、去年は私にとって「大殺界」なるもののど真ん中の年であったと言うことらしいです)。
 そういうことで、さすがに私の目線も下がり気味でありました。しかし、いつまでもうつむいてばかりではイカンですね。かつて私自身がコラムに書いたこと思い出しました。人生には無駄はなく、悪いこと辛いことにも意味がある云々ということを。そんなとき、石橋さんに再執筆の話をいただき、これも意味のあることとして、新たなタイトルで引き受けさせていただいた次第です。
 初回から少々重い話になってしまいましたが、まだまだ抱腹絶倒ネタも準備しておりますので、ご期待あれ。
 今回のサブタイトル、昨今の原発問題ではないけれど、今年は、このコラムも久留米のまちも、みなさまと私の人生も、良い意味での再稼働の年になりますようにとの願いを込めました。

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