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第百〇八話 グルメな久留米

 〈グルメ〉と〈久留米〉をモジるというのは、どこかのラーメン屋さんのキャッチにもあったような気がしますが、実際、久留米はグルメな町なのです。歴史のある国には必ず、その国独自の食文化が存在しているように、〈まち〉にも、その歴史と共に町独自の食文化があります。ご存知久留米を発祥とするとんこつラーメンは言わずもがな、我らの町の代表的食文化であります(筆者職業上手前味噌?)。そして、肉や内臓を中心とした焼き鳥も、この久留米独自の食文化のひとつです。また、そのカテゴリーに入れるとすれば、夜の〈屋台〉も然りですね。最近では、これらを総じて〈B級グルメ〉と呼ばれています。まさに久留米は、B級グルメの聖地なのであります。
 しかし!我が久留米には、それらB級グルメのみを以てグルメな町と言わしめている訳ではありません。例えば、僕が初めてピザを食べたのが32年前、18歳のときでした。そのお店は、池町川のほとりにあった小さなイタリア料理店〈サーラ・カリーナ〉です。始めてのピザの味と、イタリアの片田舎の家をイメージさせる店の雰囲気、その感動は今も覚えています。本場イタリア帰りのシェフの店という、39年前の九州では初めての本格的なイタリアンの店でした。天神町に移転した現在でも、サーラ・カリーナは、歴史と共にその味に磨きをかけながらイタリアの食文化を発信し続けています。
 そして、そのサーラ・カリーナの正面に通りを挟んで位置する串揚げ専門店の〈五味一路(ごみひろ)〉。ここも独特の店の雰囲気と上級の串揚げの味を守り続ける老舗です。 話はちょっと逸れて、これは友人から聞いた話ですが、西鉄電車の車中、中年女性たちの会話、「久留米のおいしか物っちゃ何ね?」「そりゃアンタ、タイホーとタイホーたい」「え?」「大砲のラーメンと大鳳のとんかつたい」という会話が聞こえたとか(筆者職業上極メテ手前味噌?)。そう、そのとんかつの大鳳さんも、これまた大砲ラーメンと同じく創業昭和28年という、とんかつ専門店の老舗です。肉汁ほとばしる分厚い肉にサクッとした衣の絶妙なバランスはまさにとんかつの王道。その味は二代目の大橋一夫さんによって、頑なに守られています。
 それからインド料理。これもイタリア料理同様、日本人の味覚によく合う料理文化ですね。当然カレー屋さんのことではでありません。久留米にも何軒かのインド料理の店がありますが、僕のイチオシは〈タンドゥーリ〉という、本物のインド人のオーナーシェフの店です。なぜか僕は、ここで焼酎を飲みながらタンドリーチキンを食べるのが大好きなのです。
 その他にも、久留米には沢山のグルメな店があるのですが、紙面の都合上、またの機会とします。
 そういえば、来たる11月の1日・2日は、日本中のB級グルメを集めた〈B1グランプリ〉が久留米で開催されます。久留米が一層グルメになる日です。今年の〈食欲の秋〉は、僕のメタボにさらに拍車がかかりそう・・・。

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