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第八十九話 クランクアップ

 久留米発の映画“卒業写真”の冬編の撮影も、去る一月二十三日、ラストシーンからクランクイン(撮影の都合上ストーリーの流れとは関係なしに、各シーンはバラバラに撮影)しましたが、翌二月一八日、病室のシーンを最後についにクランクアップし、昨年の夏より始まった撮影もついに完了したのです。
 全国公開は予定より早くなり今年の六月。そして久留米の皆さまには特別に、四月二一日よりT・ジョイ久留米にて全国にさきがけての先行上映が始まります。ただいま映画卒業写真を支援する会事務局で取り扱っております“制作協力券”がそのまま観賞券となります。その観賞券、今ならナント千円!事務局へのお問い合わせは〇九四二・三二・七六二〇まで。さあ今スグ!♪ゼロキュウヨンニィーサンニィノーナナロクニィゼロォー♪
 いやー、それにしても映画のロケ現場は、テレビのそれとは全く違う空気がありました。まず映画のスタッフの数が(キャストも合わせると)五〇人近い大所帯ということ。それを地元のテレビ・ラジオ・新聞の取材スタッフが取り巻いています。さらに地元のギャラリー。あの草野町の静かな路地がそれらの人で溢れているのです。そして緊迫感。主人公夫婦が田園風景の中を散策するという、わずか十数秒のワンシーンのために、カメラの移動用レールを組み、マイク・照明やぐらの配置決をめ、美術さん背景に花を植え込み、一般車両の通行を一時的に止める係、近所の犬が吠えないように犬をなだめる係り、エキストラの動線を指示する助監督、出演者のメイク、それらのスタッフが整然と動き、手際よく全てのセッティングを完了させます。そこで初めて役者さんが入るのですが、それからも数回の芝居テストを繰り返します。そしてやっと本番となるわけです・・・が、その時はるか上空に飛行機が飛んでいると、録音班から「待ち」の指示が出ます。その間、役者さんもスタッフも全員がじっと息を潜めて飛行機が飛び去るのを待ちます。そしてついに監督の声がその静寂を打ち破ります。「本番!」すかさず助監督や各部署の担当者が「本番!」を連呼します。数秒のタメののち監督が「よォーい!・・・スタート!」。静かに役者さんの演技が始まりました。その動きに合わせて35ミリのパナビジョンカメラがレールの上を滑るようについていきます。緊張と静寂の中、聞こえるのは役者さんのセリフと鳥のさえずりだけ・・・。「カーット!」監督のこの一声で、役者さんは芝居を止めます。まず役者さんの演技の具合、そして周りのエキストラの動きやその他の不具合がなければ、「ゲートチェック」の指示の下、素早く撮影助手がカメラのゲート(レンズとフィルムの間の枠)にホコリなどの異物の付着がないか確認します(異物がこの部分に付着していると、それがフィルムに写り込み、このカットは台無しになる)。「ゲートチェック、オーケー」撮影助手のこの声を確認して、初めて、監督は「オーケー」を宣言し、わずか十数秒のこのシーン・このカットの撮影が完了するのです。
 映画の撮影現場は、朝から深夜まで何日も、延々とこの作業の繰り返しなのです。クランクアップまでの最後の一週間は、ほとんどのスタッフが徹夜状態でした。僕たちがいつも、居間で寝っ転がって何気なく見ている映画も、こうやって作られていたのです。
 プロの世界というのは、業種は違っても何か共通するものがありますね。そこでとって付けたようにラーメンの話はしませんが、芸術家も技術者も料理人も一流になればなるほど、モノ(作品)づくりに対する情熱に凄まじさを感じます。そこにはナントカと紙一重みたいなものさえ感じる瞬間があります。
 またこれだけの人たちのエネルギーが結集する映画の撮影現場ですから、ときおり不思議な現象も起きるようです。ムフフ…何となく面白そうでしょう?聞きたいでしょう? それは次回のお楽しみ。

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