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第七十四話 号外・ラーメンピック(上)

 “初代熱風録”シリーズの途中ですが「号外」というより「割り込み」で大変申し訳ありませんが、今回と次回は先月(一一月一二日)開催されましたイベント“ラーメンピック”の話をさせて下さい(ワガママ平にご容赦!)。
 皆さまご存知の“ラーメンフェスタin久留米”去年は国民文化祭という位置づけで過去最大規模となり、総務大臣表彰まで受賞して全国ラーメン界の話題を一身に集めました。
 お陰様で久留米は「不景気のまち」から「ラーメンのまち」へと全国的にイメージが定着し、フェスタの当初の目的は達成されたと言ってもよいでしょう。
 そして今年のフェスタ。従来の、地元店と全国の有名店を多く招いた「プロ同志の激しい勝負」という派手な企画から思い切って方向転換し、一般市民参加型のラーメンフェスタに生まれ変わりました。若手のプロの招待店二店以外は、地元学生による創作ラーメンの店二店のみ、計四店舗という、去年に比べると極めて地味で小規模なフェスタです。その名を“ラーメンピック”としました。エントリーの学生チームは、チーム名「くるトン」こと久留米信愛女学院短期大学と「青春希望号」こと祐誠高等学校。両チームがオリジナルのとんこつラーメンで競う訳ですが、やはり基礎の部分で「プロの指導」も必要では?となり、それぞれの学校が希望するラーメン店に指導を依頼しようということで、信愛女学院さんは僕たちを指名されました(ホント。決して僕たちの押し付けではありません)。 去年のフェスタで燃え尽き、今年はゆっくり外野から見守ろうと思っていた僕ですが、せっかくのご指名と、簡単な指導ならばということで、またもフェスタに絡むことになってしまいました。
 ところがどっこい、祐誠高校の方はわずか五名という少数精鋭のチームであるのに対し、この信愛の「くるトン」チームは健康栄養学科二年全員の四八名という大部隊。しかも全員が女子(当たり前)。そして若い!それを束ねて一杯のラーメンを創作させるのです。 さらにそのラーメンは完全オリジナルでなくてはなりません。当然、自分の店のスープと麺を持ち込み、トッピングだけを学生に考えさせて「ハイ、創作ラーメンです」なんてことは許されませんし、それでは指導ラーメン店同志の代理戦争(コレが一番見苦しい)になってしまいます。またフェスタそのものも学校に宣伝の場を与えただけとなります。
 僕は、スープも麺もトッピングも本気で学生たちに考えさせ、何度も試作させ、本番でも僕は一切手を出さないということ(当たり前)を決めました。考えてみれば、これは大変なことです。去年のフェスタのラーメンバトルで、支那そばやの佐野さん・一風堂の河原さん・デビット伊東さんたちと、僕は創作ラーメンで勝負しましたが、ある意味その時よりプレッシャーを感じました。
 指導初日、本部の所長・本店の店長と三人で華の信愛女学院の門をくぐり、クラス全員が揃う教室のドアを開ける時の、ある種の覚悟を今も覚えています。「ケバイのがおるやろにゃ~。スネたのもおるやろ。ばってん、怒っちゃイカンイカン」そう自分に言い聞かせながらドアを開けました。そこに我々が見たものは!!!

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