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第六十二話 ラーメンフェスタが国家プロジェクトに(下)

 去る十一月七日、史上最強・最大のラーメンフェスタが、大盛況のうちに無事終了しました。参加ラーメン店二十一店舗、ラーメン提供数三万二千杯、二日間の延べ来場者約十五万人という、今回はまさに世界最大級のラーメンの祭典でした。
まずはご来場の皆様、出店店舗の皆様、協力していただいた市民の皆様や企業の皆様、誠にありがとうございました。そして企画・運営に携わった全てのスタッフ、ボランティアの皆様、本当にお疲れさまでした。
 しかし「祭りのあと」というのは、何ともいえない寂しさがあります。
 フェスタ終了翌日の朝、招待ラーメン店の方々をホテルのロビーで見送った後、何気なくフェスタの会場跡が見たくなった僕は、ひとり百年公園に向かいました。
 そこはまさに兵(つわもの)どもが夢の跡。
 数万の人がラーメンを食べ、今は無人と化した巨大テント。調理機材はすべて撤去され、ただの箱に戻った店舗ブース、その裏の長大なバックヤードにも当然誰もいません。ほんの昨日までラーメン店の人たちが仕事の合間に食事をしたり、店舗間の交流の場でもあったところです。足もとには、無造作に積み上げられた行列プラカードがもの悲しく秋の風にゆれています。
 さまざまな人たちの声や顔が浮かんでは消え、胸に迫るものを押さえながら僕は会場を後にしました。
 来年のフェスタ?・・・もういいでしょう。
 少なくとも僕個人はそんな気持ちです。
 構想から七年。六回に及ぶこのフェスタの開催によって、久留米はとんこつラーメン発祥の地であり、全国に誇れるラーメンどころという事実は日本中の知るところとなりました。すでに「不景気のまち」というイメージはラーメンが払拭してくれたと思っています。
僕はラーメン町おこしを考えた当初から、フェスタそのものは打ち上げ花火のつもりでした。花火はいつまでも上げ続けるものではありません。まして最大級の花火を打ち上げたならば、それはフィナーレであるべきです。
 ラーメン町おこしの次なるステップはラーメンの「モニュメント」づくりだと考えています。それは「とんこつラーメン発祥」の碑を設置したり、市内の中心部にエリアを設定し、少しづつラーメン店を誘致して、やがてラーメン横丁のような界隈を作り上げていく・・・そんな、地味だけどかたちとして残るものをつくっていけば、やがて毎日がラーメンフェスタ状態となり、各地から沢山の人が久留米の地を訪れるでしょう。
 そんなまちづくりを、実は七年間思い続けていました。
 「ラ・マンチャの男」かな?

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