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第五十六話 アジアのラーメン(上)

 「アジアから九州へ、そして九州からアジアへ」
 ~とんこつラーメンの聖地で、その発祥地でもある九州は、一方“アジア食文化の玄関口”でもあります。中国大陸の麺文化をはじめ、東南アジア諸国の様々な食文化は、古くからこの九州へ上陸し、やがて日本中へと広がっていきました。その“外来の食文化”は長い時間の中で、日本人の手によって日本人好みの食へとアレンジされました。特に、いまや日本の国民食といわれるラーメンはその代表格といえるでしょう。そのような九州の地で、そのようなラーメンにたずさわる僕は、今、ラーメンという食そのものの原点とその本質を、アジア人の一人として見つめ直したいと考えています~
 と、いうのは、実は先日(四月二一日)にリニューアルオープンした僕たちの長門石店のコンセプトです。何だかPRじみて恐縮ですが、引き続きその店の紹介を少々。
 
 「アジアの中の日本。時空を越えた無国籍で不思議なラーメン空間」
 
 ~新・長門石店の商品構成は、当然定番のとんこつラーメンを中心としながらも、今後はこの店のオリジナルメニューとして、伝統の“呼び戻しスープ”をベースに“アジアの香り”のするエスニックなラーメンを定期的に開発し、提供させていただく予定です(五月中旬以降)。
 また、日本古来の“薪で炊いたカマド飯”も、新・長門石店だけのものです。「亜」と「和」の融合がお楽しみいただけます。
 それらのラーメンたちを取り巻く空間は、アジアから日本へ伝播した“麺の道”をイメージしました。店の外観も内装も、日本家屋と中国や東南アジアの家屋が連なる無国籍な“町”に見えるようにデザインしました。 その町角に高くそびえ立つ煙突からは、カマドの煙が立ちのぼる、そんな不思議な町です~
 余談ですが、実はこのデザイン、以前子供と見たアニメ映画“千と千尋の神隠し”で、千尋の両親が豚になるシーンに登場する不思議な町や店の風景がヒントになったのです。
 何だかホントに商売の宣伝になってしまいましたが(ゴメンナサイ)、今回なぜそんなコンセプトの店にしたのか?なぜ“木造校舎”シリーズじゃないのか?etc、そんなことを書きたかったのですが、紙面の都合でそれは次回ということでゴメンナサイ。

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