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第八十七話 スイカの思い出 二話

〜その一〜
 17歳の夏、私は友人たち数人と海にキャンプに行った。そこは長崎の青島という小さな島。その小島には船大工を営む私の母方の親戚がいたので、家族で何度か訪れていた。   
 その日私は手土産を持って親戚への挨拶を済ました後、友人たちを引き連れてひと丘越えた砂浜にテントを張ることにした。その幕営作業中、親戚のおじいさんが大きなスイカを抱えてやって来た。私たちのために重いスイカを抱えながら、丘を越え長い砂浜を歩いて来てくれたのだ。一行は感動し、全員でひとしきりお礼を述べてそのスイカを頂いた。おじいさんを見送ると、誰かがスイカ割りをやろうと言い出した。しかし、この尊いスイカを疎かにしてはイカン、皆で丁寧に有り難くいただこうと言う提案に落ち着いた。その尊いスイカは夕飯時までとりあえず日陰に置き、私たちは誰もいない海で思い切り遊んだ。やがて陽も傾きかけた頃、突然誰かの叫び声が上がった。皆で駆け寄ると、その叫び声の主曰く、「ぼちぼちスイカタイムかなと思って持ち上げたら、えらい軽いっちゃんスイカが。そんでよく見たら直径5センチ位の穴が空いとって、中が空洞になっとると!実がごっそり無くなっとる。しかもその穴には丁寧にフタがかぶせてあってチョット見では気付かん仕掛けになっとる!」一体誰がこの有難いスイカを?この浜には私たち以外誰もいない。恩知らずの犯人はこの中にいる。そこで下手人探しが始まったが誰も手を挙げない。結果的に犯人不明のまま、そのキャンプは終了した。
 それから月日が流れ30年の時を経ったある日、突然友人のHから電話があった。なんとコイツ、自分があのスイカの犯人であることを30年後に白状したのだ(ちなみに第一発見者ではない)。もう時効とでも思ったのだろう。私は呆れすぎて腹も立たなかった。

〜その二〜
 時は更に遡って私が6歳の夏、母のお使いで八百屋にスイカを買いに行った。そのスイカ、6歳の私には大きすぎた。スイカの入った網カゴを両手で下げ持つのだが、すぐに地面に着きそうになる。必死で一歩ずつ歩いていたが、ついに家を目前にして力尽き地面に落としてしまった。スイカは網カゴの中で無残に砕けていた。私は母の怒りを想像した。強く叱られると思った。しかしどうしようもない。覚悟を決めて玄関の扉を開けると母はそこで待っていた。私は謝った。「ごめんなさい・・・」ところが母は叱らない。割れたスイカを持ったまま、足元はスイカの汁と泥で汚れた6歳の息子の姿を見た母は、私を抱きしめて言った。「ごめんね、小さいヒトッチャンにこげな大きかスイカば・・・」
母は厳しさと優しさの調和した素晴らしいひとであった。
 これは、今でも夏が来てスイカを見るたび有りありとよみがえる思い出である。

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