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第八十三話 ドラマの中のラーメン屋(改)

 今回、皆さまが最も気にされている「新型コロナウイルス」の話を書こうかと思ったが、暗い気持ちに拍車をかける気がしたので、書くのをやめた。

 唐突な話だが、テレビドラマ史に燦然と輝く名作「北の国から」。数十年を経たこのドラマの熱烈なファンは今でも多く、私も同様である。北の国からシリーズには、その長い年月のなかで数々の名シーンがあった。その中のひとつ“北の国から’84夏”より私が印象に残ったシーンを、つたない記憶のままに紹介させて頂きたい。

(シナリオ調で)~ある夏の日の夕暮れ時。兄の純と妹の蛍はまだ小学生。2人は父・五郎と3人で、閉店時間間際のひなびたラーメン屋のテーブルに座っている。五郎がラーメンの注文を終えると、わずかな沈黙が流れる。薄暗い店内には、やる気のない中年の女性店員1人と客の五郎たち3人のみ。テレビの音だけが無機質に流れている。先刻より元気なくうつむいていた純が静かに喋り始める。

純:「父さん、ごめんなさい…。実は…最初に(事故を起こした)イカダに乗ろうと言い出したのは僕の方で…」
 純は五郎に隠していたことを、懸命に涙をこらえながら告白し始める。五郎は黙って聞いている。店員がラーメンを持ってくる。

店員:(迷惑そうに)「もう閉店の時間ですから早くしてくださいよ」
 投げやりにラーメンを置かれて、五郎はぺこりと頭を下げる。五郎と蛍はラーメンを食べ始めるが、純はうつむいたまま話を続けている。店員はカウンターに座って退屈そうにタバコをふかしている。

純:「それから…(友人の)パソコン雑誌を黙って持ち出したのも僕で…」
 純はまだラーメンに手を付けず、うつむいたまま告白を続ける。涙があふれている。いつしかテレビが消され、3人の帰りを促すように店内の電気も消される。3人はわずかな明かりの下でテーブルを囲んでいる。

純:「僕は卑怯で…」
 純の涙が床にこぼれ落ちている。五郎は、自分もかつて純から「父さんは最近パワーがなくなった」と指摘され、そのことで気づかせてもらったことを素直に純に伝える。

 そこで店員が、うんざりしたように言う。
店員:「ねえ、まだですか?」

 五郎は再度店員に頭を下げる。蛍が兄をいたわるように優しく言う。
蛍:「お兄ちゃん、食べよう」

 ようやく純はのびたラーメンを食べ始める。しかし涙でのどを通らない。五郎は店員を気遣ってポケットから小銭を取り出し、先に勘定を済ませる。すると店員は食べ終わってない純の丼をいきなり下げようとする。そんな店員に、静かな五郎が初めて興奮する。

五郎:「こ、子供がまだ食ってる途中でしょうが!」

 驚いた店員は、思わず丼を床に落としてしまうが、そのままプイと立ち去ってしまう。

 店員がいなくなった暗い店内。3人は床にしゃがみ込み、割れた丼を片づけている。妹は兄を、そして父親は息子をいたわるように…(テーマ曲IN、F・O)

いかがでしたかな?私が最も好きなこのシーン、やはり私がラーメン屋だから?

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