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第四十八話 メッチャ、ヘタレな私

 関西のお笑い芸人たちによって全国に広められたと言われる「メッチャ」と「ヘタレ」という言葉がある。ご存知と思うが、前者は「とても」、後者は「意気地なし」という意味。と、いうことであるなら、私という人間は「メッチャ、ヘタレな男」である。それを確信したのは先日みた夢だ。
 内容は・・・、なぜか私は若き特攻隊員。出撃の朝、覚悟を決めた私は、「祖国ヲ護ランガ為、イザ南方ヘ」と、特攻機の待つ滑走路に勇んで駆けつけた。すると、そこには特攻隊員たちの長蛇の列があり、私は最後尾に並ばされた。上官による訓示も、別れの水盃もなく、まるで繁盛ラーメン店に並ぶ客のごとき行列である。隊員たちは皆、小太りで無表情。中にはスマホをいじっているフリークもいる。特攻機は、250キロ爆弾を腹にくくりつけられた旧式の零式艦上戦闘機21型。どこからともなく1機ずつ引き出されてきて、行列の前に現れる。先頭に並ぶ隊員から1人ずつ搭乗して飛び立っていくのだ。滑走路の傍では、それを見送る整備兵らが帽子を振り、近隣から動員された女学生たちは、桜の小枝を振っている。行列に並んだ私も次第に前方へと進み、やがて先頭から3番目となった。途端、私はビビり始めた。「なんか恐ろしゅうなってきた。志願しぇんがよかった。手ば上げんがよかった。」さらに「あれっ?・・・飛行機の操縦、どげんやったかにゃ・・・。思い出せん!エンジンちゃ、プロペラちゃ、どげんして動かすとか、忘れっしもた!こりゃ、でけん。」やがて順番は2番目に。「逃げたかー、ダッシュで。ばってん、そげなこつしたら残された家族は、非国民の一族として末代まで世間の嘲笑にさらされるやろう・・・。それもおおごつ。そう、仮病を使おう。アタマの痛とうなって、ハラまでしぇいとりまーす、とか。うん、そいがよか。終戦まで毎日仮病を続ける、こいがよか。」そうこう、心をジタバタさせているうちに自分の番になり、仮病を使う間さえ失った。「え?」「ワ、ワタクシはいま、アタマのしぇいて、ハラの頭痛が・・・」極めて未練がましく、オトコの風上にも置けない私は、無言でマッチョな整備兵から羽交い締めにされ、無造作にコクピットへ放り込まれてしまった・・・。その瞬間、目が覚めたのである。
 気がつくと全身寝汗でビッショリ。胸の動悸も収まっていない。ただ気持ちは、現実に目覚めた喜びと、この平和な今の日本に生きていることへの感謝でいっぱいであった。また同時に、自分という人間の本質は「メッチャ、ヘタレ」であり、佐賀弁で言うところの「ヒャー」であったということも認識したのである。
 私は戦争賛美論者ではない。しかしながら、わずか70数年前、その時代の日本の若者は凄いと思う。中でも、祖国と家族を守りたいという一念で特攻を志願した若者たちの、その精神の純粋さと強靱さに、私ごときは心から脱帽するしかない。

 来たる6月9日(金)・夜7時 FBS「頑張るキミに花束を」〜崖っぷちラーメン店シリーズ第3弾(前編)〜放送決定! 乞うご期待。

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