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第八十八話 映画の方言指導(2)

 前回の久留米弁講座のハナシ、読者の皆さまには結構ウケたみたいです。特に「卒業写真」の久留米弁バージョンがご好評をいただいたようで大変恐縮しております。中には「お前が双璧という、もうひとつの名曲“なごり雪”の久留米バージョンも聴きたか」という声もありました。それで、調子に乗りやすい僕なので、それにお応えして少々・・・。
 
~応用編その2:「なごり雪」の久留米弁バージョン~
汽車ば待っとるお前ん横で オイは時計ば~気になってしょんなか
季節外れん雪どん降りよる 久留米で見っ雪ゃ こいがしまいばい ち
じゅつなかこつば お前や言いよろ
なごり雪でちゃ 振らにゃイカンごたるふうで
にやがり過ぎた季節んあとで いま春ん来て お前や うつくしゅうなったばい
去年よっか ガバ え~らしか。
 
(二番省略して最後のサビ)
お前の おらんごつなっしもたホームに まーだ俺ャおる
落ちちゃ~解けしよる 雪どん見よる いま春ん来て お前や うつくしゅうなったばい
去年よっか ばさらヨカおなご
 
・・・と、またもやってしまいました。なごり雪の伊勢正三さんごめんなさい。この前一緒に飲んだよしみで許してください。・・・しかし久留米弁というものは、どう聞いても全ての「美」を破壊する凄まじさがあります。 実は本日(一月二三日)ついいに映画「卒業写真」の冬編がクランクインしました。僕もこれからクランクアップまで「方言指導」としてロケ現場で各役者さんに久留米弁の指導をさせていただくわけですが、本日も主人公の津田寛治さんに、いくつか久留米弁のアドバイスをさせていただきました。さすがにプロの役者さんですね。台詞を数回反すうするだけでその部分のイントネーションはクリアされます。しかし、僕はそんな津田さんに感心しながらも、どうしても気になっていたのが、常に津田さんに寄り添っている奥さん役のヒロイン・羽田美智子さんの美しさです。その美しさゆえに、僕の口からほとばしり出る方言指導用の強烈な久留米弁が、羽田さんの「美」を一瞬のうちに壊滅させそうな気がしてなりませんでした。
 しかしご安心下され。映画では、夫役の津田さんは久留米出身という設定ですが、妻役の羽田さんは東京育ちの女性であり、二人は東京で出会い、先日まで東京で暮らしていたという設定になっております。したがって、決して羽田さんの口からは久留米弁は出ないのであります。「美」は守られるのであります。
 でももし、この夫婦が二人共久留米人という設定なら、夫婦の会話に僕はこんな方言を指導しなければならなかったかもしれません(以下のシーンは映画「卒業写真」とは関係ありません)。
 ~余命半年と宣告された夫、人生最後の終止符は自分が生まれ育った地で迎えたいと、献身的な妻の介護を得ながら故郷・久留米に帰郷していた~(夫は車椅子・妻はそれを押しながら冬の草野の田園風景を散策している)
 
 夫「(車椅子を)ちゃ~んと押さんか。田んぼにおっちゃゆっとこやったやんか」
 妻「しぇからしか。アタシャちゃんと押しよろうが、あんまい言うと ほたくって帰るばい」
 夫「おっ、言うたにゃ、よかじぇよかじぇ 帰ってみ~」
 妻「あ~帰っちゃるたい。そん前にあそこまで押して行っちゃる」
 
 ~車椅子のまま田んぼの中央部に取り残される夫。振り向きもせず去ってゆく妻。夫あぜんとしている。
 雪が降り始める。カメラ次第に引く。遠景。山の中腹あたりから積雪(主題歌:なごり雪 途中、夫の台詞挿入)~
 
 夫「がば さむか」   完