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第六十九話 少年時代はイタズラ時代

 すでに時効と言うことでお許しを頂きながら、ここに私の少年時代のイタズラの懺悔を・・・といっても、決して悪逆非道な行為ではなく、他愛ない子供の「おいた」なので、お気軽にご傾聴願いたい。
それは中学2年か3年の夏休みだったか、私は同級生のワルガキたちと4人、志賀島でキャンプをした。私たちは島の真裏、勝馬のビーチからあえて東に外れた人気のない岩場にテントを張った。そこは片手にモリを持ち、シュノーケリングで魚を獲るには最適のポイントであった。昼は皆で海底の岩陰に潜むアラカブなどの根魚を突き、陽が西に傾きはじめると海水で砥いだ米を炊いて、昼間に獲れた獲物をおかずに飯盒炊爨の夕食を賑やかに楽しんだ。やがて夜も更けはじめ、テントは満天の星に包まれたが、キャンプの楽しさに興奮していた私たちはなかなか眠れない。そこで、「面白いこと思いついた!」と、私はある提案をした。「おい、E」先ずはこのグループで最も人間離れした顔のEを指名し、白いポンチョ型のビニール合羽を着せた。そしてEと私は岩場の急斜面を星明かりを頼りに這いあがり、島を1周する車道に出ると、その道のガードレールの外(海)側の岩の上にEを立たせた。さらに私は彼の足元から懐中電灯でライトアップ。それは正に漆黒の夜の海を背にして宙に浮かぶ「白い霊体」そのものであった。下から見上げていた仲間たちはその見事なニセ幽霊に唖然としている。さすがのEも自らの役割に気づいたらしく、両手をゆっくり上下させながら幽霊の演出を始めた。そのとき1台の車が走ってきた。Eが立つのは海にせり出したカーブの突端である。カーブ手前で一旦減速したその車は、目前にイキナリ現れた「白い何か」に驚き我が目を疑ったのか、さらに減速してバックミラーで確認しているらしい。しかしその白い何かは、幽霊のごとき姿でそのミラーに写っていて、しかも手招きをしている。やにわに車はタイヤを鳴らせて急発進、カーブの向こうに走り去って行った。
 イタズラのあまりの成功ぶりに小躍りしたEと私であったが、そこに仲間の1人が崖を上って来た。彼曰く「今の車、乗っとるのがヤンキーかも知れんばい。仲間を呼び集めて戻って来たらヤバくないや?」それもそうだ、中学生の自分たちなんか大人の「族」からは瞬殺だろうということで「幽霊」はすみやかに撤収と相成り、全員おとなしくテントに潜り込んで、頭上の車道を走る車の音に耳をすませながら眠りについたのであった。
 ここまで書いて、もう1つ別のイタズラを思い出した。これも私が前述の世代であったと思うが、ある田舎の私鉄の踏切の傍らにゴミ集積場があった。私がその踏切を渡ろうとするとき、そこに捨てられた1足の女性物のサンダルが目にとまった。私は何を思ったか、そのサンダルをヒョイと拾い、左右ふたつをキチンと揃えて踏切の手前に置いてみた。それは何かを暗示させるような見事な構図であった。するとそこに近所のオバチャンらしき女性が通りかかった。彼女は突然歩みを止めてそのサンダルを見たと思いきや、慌てるように線路の左右を見廻し始めた。やがて近所の人たちがその「現場」に集まり始め、ちょっとした騒ぎになってしまう様を、私は「こんなハズでは」と物陰から見ていた・・・と言う話。
今回、思慮の浅い私の少年時代のイタズラ話をふたつ書かせて頂いたが、いま思えば「幽霊」のイタズラは、そこで驚いた車の運転手が事故を引き起こさなかったことは実に幸いであった。また踏切の話にしても、誠に不謹慎な私の行為である。本コラムの読者におかれては、成年未成年問わず、決してこの真似はされぬよう願うものであります。