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第五十五話 とんこつラーメン専用どんぶり(中)

 ~前号の続き
 「とんこつラーメン専用どんぶり」の制作チームは、前出の秀山窯の里見武士君をリーダーに、原彦窯の梶原大介君、森山寛山窯の森山寛次郎君、この若手陶工3名のメンバーでスタート。作品発表の場であるとんこつラーメン誕生祭まであと半年。時間はありそうで、ない。3人の表情からは焦りの色が滲み出ている。さて、「とんこつラーメン専用」なるどんぶりとは如何なるものか?テレビの報道チームは、今回の企画がよほど追っかけ甲斐のあるテーマらしく、Mディレクターに至っては、焦る陶工たちを更に煽り立て、3人にそれぞれにプレッシャーをかけることに余念がない。「里見さん、あなたの作品は藍色が特徴のようですが、香月社長は『ブルー系などの寒色は食欲減退色なので、あったかい食べ物には合わない』などと言ってますが・・・?」という調子である。ちなみに里見君はこれを言われて、逆にその藍色の作品でどんぶりに挑む決心がついたという。

 やがてうららかな春は去り、夏本番前の鬱陶しい梅雨真っ只中の7月上旬、とんこつラーメン誕生祭のプロジェクトは、PRを兼ねて小川洋福岡県知事を表敬訪問することと相成った。各メディアも取材に来るということなので、小石原の若手陶工チームを代表して原彦窯の梶原君にも同行を願った。知事には暖かく迎えて頂き、また終始和やかなムードでイベントの趣旨説明と、メディアの取材も終えることができた。この日が7月3日。晴れてはいたが、異常に蒸し暑かったのを覚えている。
 そして1日置いて7月5日午後、久留米商工会館にて、私たちプロジェクトは、一昨日の県知事表敬の報告も含めた会議を開催した。開会して間もない3時半過ぎ、会議室内にいるメンバー10数人のスマホが一斉に警報音を鳴らし始めた。手に取ると「大雨特別警報」とある。窓の外を見ても、さほどの雨は降っていない。その後も会議を進めようにも、何度もスマホは鳴り続け、「避難指示」「避難所開設」などの情報が次々と飛び込んで来る。なぜか西の空は異様に暗い。「そう遠くないどこかで何かが起きている・・・」皆、そんな不気味な気持ちのまま、会議は早々にお開きとなった。

 ちょうどその頃、久留米の近隣、朝倉・東峰村・日田を、日本の観測史上最大級の集中豪雨が襲っていた。東峰村の小石原地区も、まるで雨雲の中のダムが決壊したように、膨大な質量の水が押し寄せ、山も谷も民家ももろとも飲み込まれていたのである。
 
 ~続きは次号