◆◇◆ お〜い日本語 ◆◇◆



 先日ある新聞に、日本の子供の学力が低下しているとありました。特に正しい日本語の使い方を知らない若者が増えているとのこと。何か解る気がします。元々学力が低い僕が言うのもおかしい話ですが、サービス業、中でも飲食店の若いアルバイトさんの接客用語に乱れを感じます(恥ずかしながら、僕の店でも時々見受けられます。その都度指導しているのですが…スミマセン努力します)。

 それはまず「過去形の乱用」とでも言いますか、席にご案内している最中なのに「こちらでよろしかったですか?」。商品を提供する時も「これでよろしかったですか?」現在進行中なのに全てが過去形。お解りのように、この場合は「〜でよろしいですか」という使い方が正しい日本語の使い方ですね。
 またこれも商品提供時、最近よく使われる言葉に「こちら〜になります」というのがあります。正しくは「こちら〜でございます」ですね。

 その他にも様々な日本語の乱れを感じる時がありますが、この現象は最近の若者気質の現れでしょう。まず「過去形」現象は「面倒なことは聞きたくない」早くこの状況を「過去」にしたいという逃避願望です。また「〜になります」というのは「〜でございます」と、キッパリと言えない、または言いたくないという「責任逃れ」の心理です。

 そして、若者の一般会話で「質問型」というのもあります。それはある焼鳥屋さんで、ある若者が僕に話しかけてきたときのこと。自分のことを相手に話すのに、語尾を上げて相手に質問するように話す。たとえば「俺?朝起きた?歯みがいた?痛かった?虫歯かも?病院?行きたくない?怖いから?それにお金も?無いから?」こんな調子で僕に「尋ねる」ように、しかも首をかしげながら、ただ朝の自分の「報告」をするのです。これには参りました。「お前、鏡とでも話ししろ」と言いたかったですね。
 この「質問型」は、自分の行動の善し悪しを自分で判断できずに、他人に判断を委ねる「依存型」の心理ということでしょうか。若者気質と活字離れ(学力低下の一要因)が絡み合った独特の現象です。
 
 さらにこの日本語の乱れと比例して増えてきているのが「正しくお箸を使えない若者」です。箸をX型に持ったり、人差し指だけ飛び出していたり…。最近の若者たちとの飲み会で、半数近くの子がそんな状況でした。
 次の入社試験では「箸の持ち方の実技試験」を組み入れようかと真剣に考えています。ここがお箸の国なのかと情けなくなります。

 最後に、この話に登場した、そうなってしまった若者たちに責任はありません。
 親と周りの大人たちにすべての責任があります。
 この国はどうなってしまったのか?
 そして、どこへ向かおうとしているのか? 
 そんなことを、ラーメン屋の一親父が憂いております。


ー次号へ続くー

(2005年1月)