ラーメン今昔物語(45)『ラーメン屋の中のドラマ・パート2』 

ラーメン屋のH.K
          
 今回は、ちょっと古いけど“まんが日本昔ばなし”風に。  
〜 むかーし昔のことじゃった。 ある小さな町の片隅に、これまた小さなラーメン屋があったそうじゃ。 もうその店はなくなってしもうたので、このはなし、話しても差し支えないじゃろう。
 そのラーメン屋は、変わり者の夫婦が二人でやっとったそうじゃが、なぜかたいそう評判で店の前にはいつも 長い行列ができとったそうな。それは、夏のとても暑い昼下がりのこと、この日もこの店には長い行列ができとったそうじゃ。 陽炎に揺れるながい長〜いそんな行列の最後に、幼い男の子を連れた母親がそっと並んだそうな。 炎天下で木陰もない行列はなかなか前に進まず、その母親は自分の影でその子の日除けをつくりながら、 ひたすら入店の番を待たそうじゃ。
  半時(約1時間)も待ったじゃろうか、母子はやっとの思いで、 冷房の効いた涼しい店内に入ることができたそうじゃ。 ところがじゃ、母子が入るやいなや「いらっしゃい」どころか、 店のオヤジはいきなり「帰ってくれんか」といったそうじゃ。 母親が驚いてその訳を訊くと、オヤジは黙って店内の張り紙を指さした。そこには「子供連れお断り」と書いてあった。 母親は、それは知らなかった。でも暑い中、長時間並んでやっと店に入れたのだから、 せめてこの子にだけでもラーメンを食べさせてほしいと哀願したそうじゃが、「わしの店の掟じゃ」と、 ラーメンどころか水の一杯も与えず、けんもほろろにその母子を追い出したそうじゃ。 周りの客は皆、そんな母子を見て見ぬ振り、知らん顔じゃったそうな。なんと悲しい話じゃ。

  そのオヤジは何かと“掟”が好きらしく、ある客が「替玉」を注文してもオヤジは知らんぷり。大きな声で何度注文しても、知らんぷり。たまりかねて怒鳴ると、オヤジは黙ったまま張り紙を指さすそうじゃ。 そこには「『替玉』”ではなく『替麺』と言って下さい」と書かれていたという。 掟と張り紙が好きなオヤジは、掟を忠実に守る客しか客と見なさぬらしく、やがてそんな客たちの会ができ、その会員はなんと忠実度で“階級分け”までされていたそうじゃ。驚くべきことじゃ。 その後、その店とそのオヤジ夫婦がどうなったかは、なんせ遠〜い昔の遠〜い町のはなしじゃから、とんとわからん。 〜  

  と、まあこのはなし、実話か作り話かは皆さんのご想像におまかせするとして、この店の雰囲気は何となく、 先々月このコラムに登場した“北の国から”のラーメン屋に(行列以外は)基本的に似てますね。 もしかしたら倉本聡氏もこの店に行ったのかも…?

  ところで「先月登場したお前の店のバイトのM君はどうしてるか」って? はい。元気に頑張ってます。彼は将来ラーメン屋になりたいそうです。

‐次号も乞うご期待‐